孝道山の教え

　誰もが仏さまのような穏やかで思いやりのある心をもつと説く「法華経ほけきょう（妙法蓮華経みょうほれんげきょう）」の教えを大切にしています。
　仏教を学び、心をととのえることによって、相手に共感する力や包容力、平静な心、洞察力、忍耐力、勇気など、自分を向上させる力が身に付きます。
　心の調和がもたらされ、自分や周りの人に思いやりの心を向けることで、毎日を心豊かに過ごすことができます。

在家のためのお寺

　岡野正道師（岡野正道大統理）は天台宗の黒田坦海たんかい大僧正だいそうじょう（岡野師のいとこ）の勧めで、天台宗の名刹、星野山せいやさん無量寿寺中院むりょうじゅじなかいんで１９歳の時に出家しゅっけ得度とくどし、僧侶になりました。
　岡野師はお寺での生活を通じて、仏教の教えは人びとの日常にあてはめて説くことが大切であると、思い至りました。それは、仏教の智慧と慈悲（思いやり）を学ぶことで、周りの人との調和が生まれ、心豊かな人生が送れることを知ってもらうことです。
　それには人びととともに苦しみも喜びも味わう必要があると考え、岡野師は僧籍はそのままに、一般の社会生活を営みながら仏教の研さんを積みました。そうして１９３６年（昭和１１年）に妻の岡野貴美子師（孝道山では岡野貴美子初代副統理ふくとうりと呼んでいます）とともに「孝道教団」を開きました。一般に孝道山と呼ばれ、出家せずに仏教を信仰する人（在家）のためのお寺です。

「縦の孝道」「横の孝道」

　慈悲の行いである孝道には、「縦の孝道」と「横の孝道」があります。
　縦の孝道とは、家族が慈悲の心をもってお互いを尊重し、お互いの心の成長を助け合うことです。
　先祖から受け継いだ命を大切にして心の向上に努め、子孫によい心の資産を遺すことは、先祖と子孫への縦の孝道になります。
　横の孝道とは、これら縦の孝道で注ぐのと同じ愛情をもって、地域や社会に接していくことです。
　孝道が縦から横へと広がっていくことで、人びとの間に調和が生まれ、心穏やかに暮らす環境をととのえることができます。

先祖供養

　孝道山では、自分自身が幸せになっていくことが先祖の供養であると説いています。心をととのえ、自分や周りの人に思いやりの心を向けることで、毎日を心豊かに過ごすことです。
　先祖を５代さかのぼると６２人、３０代で２１億人以上…。このうち１人でも欠けていたら、私たちはいまここに存在していません。代々続いてきたことは、子どもは幸せになってほしいと親心があってのことでしょう。
　しかし実際には、親の愛情に恵まれないこともあり、子が親を敬うことに抵抗を感じる人がいるのも事実です。
　それでも代々続いてきたということは、祖父母やそれ以前の方々の中に、子や孫に愛情を注ぐ人がたくさんいたということに違いありません。
　そうした先祖の思いに応えるには、いまを生きる私たちが幸せになっていくことが一番大切なことです。